2006年02月21日

気恥ずかしげな表情で

世の中まだまだ捨てたものではないと思ったこと

13 名前: 半年くらい前の話 投稿日: 2001/05/12(土) 17:58
野球部とおぼしき少年達が
どかどかと夕方の電車に乗り込んできた。
空いていた席に、自らの体と巨大な荷物をどっかりと下ろし
大声で話し始めた。

「オマエむかつくんだよこの孕ませ男。」

「うるせんだよ〜童貞が!ガハハハハ〜。」

周りを気にせぬ下品な話が延々と続く中、
大人達は顔をしかめ、
『どういう教育してんだろうねぇ』
と彼らをあからさまに疎んでいた。

次第に険悪ムードが広がる中、
杖をつきつき一人の老婆が、よろよろと奥の車両から歩いてきた。
『あぁ、危ないなぁ…』
と誰もが心配の目を向ける中、案の定、老婆はよろりとよろめいた。

咄嗟に見て見ぬフリをする大人達。
そんな中、10数人いた先ほどの少年達が
一斉に老婆に駆け寄ったのだ。

「ばぁちゃん、次の駅まだ遠いって!」

「あぶないよ、ここすわりなよ。」

「怪我しなかった?だいじょうぶ?」

彼らは自分達の荷物を床に蹴り捨てると、
老婆を大切な物の様に、座席の真中にちょこんと置いた。

『誤解してゴメンねぇ』
『悪い子じゃないんだねぇ』
大人達は皆、気恥ずかしげな表情で。
車内は微笑ましいムードに包まれた。


posted by ひめたろう at 16:00 | 一レスもの:癒 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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